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2014.09.01
Vol.78 〈指導者の資格〉

今年の夏の甲子園も開会式が雨の為、2日間も延期になりながら…先般無事終了しましたネ…(野球ファンの末席を汚す者の一人として)特に高校野球は魅力的ですネ
毎年、毎回素晴らしいドラマを私たち観るものに【感動】として与えてくれます…
今回は大阪桐蔭高校が全国3917校の頂点に立ちました…
 私自身は大阪桐蔭・西谷監督の優勝インタビューが印象に残っています。
「(昨年の秋、履正社にコールド負けをしてから…)夏、日本一になる為に、毎日毎日叱って…生意気ですけど、どこの学校よりも練習をして来たつもりです…」と・・・
 このインタビュー内容が下記対談文章の「たまたまで日本一になるなんてことはあり得ませんから。」に繋がっているのでしょう… 忘備録として下記に原文のまま投稿させていただきます…

 

                                            西谷浩一氏(大阪桐蔭高校硬式野球部監督)

※対談のお相手は、千葉県の習志野高校、流通経済大柏付属高校の両校を 4回もの全国制覇へと導いたサッカー界の名将・本田裕一郎監督です。

西谷 私がここ最近変わったなと思うのは、メンバーから外れた子たちが 非常によくやってくれるチームになった、ということですね。
10年ほど前までは夏のメンバー発表が終われば、そこから外れた子は寮を出るのが決まりだったんです。
メンバーから外れて気持ちも少し切れているだろうから彼らは家から通わせるようにしようと。
ところが、私が監督になって3年目の時、皆が寝静まってからキャプテンが相談に来たんです。
「メンバー発表が終わっても、3年生全員を寮に残してほしい」と。
私は内心凄く嬉しかったんですが、理由を尋ねると、「監督はいつも、一つのボールに皆が同じ思いになれ。“一球同心”と言われているのに、メンバー外の3年生が寮を出たらお互いに溝ができてしまう。一球同心が本物にならないと思います」と言ってくれたんですね。

本田 選手のほうからそう言ってこられたのですね。

西谷 夏のメンバー発表をする時には、背番号をつけてやれなかった子たちがベンチ裏でワンワン泣いているんです。でも次の日には彼らのほうから、「チームのために何かやらせてほしい」と自ら言ってきてくれるようになった。そして打撃投手をしてくれたりするんですが、私が一番してもらいたいのが相手チームの偵察なんですね。1、2年生より3年生のほうが野球をよく知っているから、絶対にいい分析ができる。ただメンバーから外れた3年生にそれを頼むのは非常に酷なことなんです。

本田 よく分かります。

西谷 その彼らが「偵察にも行きます」と自分から言ってくれるようになり、そこから何かが変わってきた。
三年生の外れた仲間たちが撮りに行ったとなると、メンバーもいい加減には見られなくなる。
そうしたことで合宿所自体の雰囲気が変わってきました。だから試合に出ていない子の力がいかに大切か、その子たちの力が関わってきた時に、チームは本当の力を発揮するんだなと改めて感じましたね。

本田 指導者というのは皆、非常に負けず嫌いですよね。
でも負けず嫌いの人は、往々にして諦めやすいという面がある。だけど本当の指導者は、その負けず嫌いが継続するんです。諦めなければ必ずチャンスが巡ってくると思っています。
選手だって負けず嫌いな子のほうが成長しやすい。
だけどもそういう子のほうがかえって諦めてしまいやすいんです。

西谷

同感です。
そういう子が変化した時に、凄いものになっていく、本物になっていくんですがね。
また、本当に伸びる子は概して素直でなおかつ頑固さも備えていますね。
人の話をちゃんと聞く耳を持っているが、自分というものもしっかり持っているというか。

本田 素直さという点では共通していますが、私自身は反骨精神のある奴が大好きなんですよ。
よく、不貞腐れる子っていますよね。そういう子と話をして突っ込んでいくと、時には飛び掛かってくることもありますが、そういう部分を崩してやった時には、これが本番で大活躍するんですよ。
暴れ馬を調教した時には名馬になる(笑)。

西谷 ここ一番ではそういう子がやってくれますね。

本田 真面目な子は土壇場で萎縮したりするんです。
いずれにせよ、ねじれた子も3年間でそのねじれを取ってやらないと、社会では通用しませんからね。一方で、真面目な子にも真面目なだけじゃダメだよと教えてあげる。このへんが非常に難しいところです。

西谷 そうですね。
それと、これは先生も同じでしょうが、我われはやはり日本一になることを目標にしているので「これで日本一になれるのか」という言葉を意図的に毎日毎日伝えていきました。ただ日本一は本気で狙いに行っても簡単には取れません。でも本気の本気で狙いに行ってこそ初めてチャンスが出てくると思っています。だから常にそれを意識してやりたいと思っています。
たまたまで日本一になるなんてことはあり得ませんから。
だからそこに近づくために自分がいま何をしないといけないかということですよね。

本田  えぇ。だからとにかく鍛える、日本一に向かって鍛えていく。
私自身は厳しさと優しさというものは同一線上にあるものだと思うんです。
どちらが先行するものでもなく厳しさの中に本当の優しさが、優しさの中に本当の厳しさがある。
叱るのと褒めるのも、苦しさと楽しさも一緒じゃないかと。
選手にも3年間、いろんなドラマがあるじゃないですか。
でも卒業する時に、彼らは苦しかった時のことを笑いながら喋るんです。
つまり苦しいことの中にこそ、楽しさがあるんじゃないかと。
そうした点で、指導者に求められるものの第一には、やはり情熱ですね。次に負けず嫌いであること。そして最後は行動力です。
年を取ってくると、だんだん面倒臭さが先に立っちゃいますから、そういうことがないようにと心掛けています。
この世界、人間が相手ですからそう簡単には極められないですよね。
ここからもっともっと深い境地があると思うし・・・
西谷先生にも負けないよう、若さをもらわないと(笑)。

西谷

私はまだまだ未熟な指導者なので、子供たちの中にバッと入ってしまい、見えなくなることがよくあるんです。最初のうち勝てなかった理由を自分なりに考えると、たぶん子供たちと一緒になって戦っていたから見えなかったんだといまになって思うんです。これまでは子供たちと一緒に突っ走ってやってきましたが、最近は指導者として一つの岐路に来ているように感じています。単に野球だけを教えるのではなく、子供たちにその先の生き方を教えるため、本田先生のようにいろいろな引き出しを持っている必要がある。子供たちを引っ張っていく立場であれば、もっともっと自分が勉強しなくてはいけないし、そういう根っこの部分をどれだけつくってやれるか将に求められる資格ではないかと思います。



「色んな、本や文章は自分に置き換えて読みなさい…」と、昔教えていただきました。
今回の対談で云う、【指導者】や【将】を私なりに置き換えてみますと…
【経営者】や【社長】と云う事になるのでしょうネ…
ちょっとした文章の中に、盛りだくさんのヒントがあります。
有り難いことです…もったいないことです…

感謝合掌。

 
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